まぐらぼ

日々の雑記を書いています。

カネコ VS 拝承系

西川氏のウィーゼル製作所物語を見る限り、日本の知名度の高い大企業は賞味期限が切れていると思います。カネコさんも犬に噛まれたと思って早い段階で損切りしたら良かったのにね。

なお三田勝茂氏はすでに鬼籍。日立マイコンは今の超Lでルネサスと一緒に鬼籍に入りそう。SH-CPUの河崎俊平さんも社内政治で苦労されたようです。


こっからの転載「馬鹿者!天下の日立に何を言う!ゲーム屋ごときが口を出す事じゃない!」「あわあわ」@TEXTOYX

第一章 出会い
 ゲーム会社である株式会社カネコではネオジオのようなカセット式のアーケードゲーム基盤の開発を進めていました。オーサリングツールをも統合した「スーパーノバ」と呼ばれるこのシステムは、ハードウェアだけでも当事の業界水準を大幅に凌駕している上に、オーサリングツールとの統合により、複数他社コンシューマ機への移植性に富んだ非常に先進的なシステムでした。
 このとき、カネコ社長の金子は、とある女性と出会います、日立製作所会長三田勝茂の次女である三田麻希子です。金子は麻希子の口添えもあって、日立でスーパーノバシステムのプロモーションを行い、その可能性を高く評価されるとともに、金子自身の才能をも認められます。
 金子は三田会長の説得のままに、経営から離れ、開発に注力することになります。それにあたって、日立より幹部が出向し、カネコの経営を行うことになりました。これとともにスーパーノバの基盤は日立製作所が設計し、ソフトは日立ソフトが行うことで合意しました。
 日立製作所の全面的なバックアップ体制が整ったのを見て、金子はこれを自分の意欲作「スーパーノバ」の順風満帆な船出だと思いました。
 その時は未だ……。

第二章 誤算
 プロジェクトが動き出してから程なく露呈した事態に、金子は我が目を疑いました。ちっぽけな自分の会社に比べて技術の蓄積もあり多くの優秀な技術者を抱える巨大企業であるはずの日立製作所が、スーパーノバ基盤の設計が出来ないのです。また、CPUに当事最高速の32BitRISCプロセッサ、Alphaの300MHzを予定していたスーハーノバでしたが、日立の意向により切り替えた日立製SH4というCPUが予定の300MHzを満たせず、たったの66MHzしか出ないという事態にも陥りました。先進のパフォーマンスで初めて可能になるはずだった高速な画像描画が目も覆わんばかりの劣悪なものにパワーダウンしてしまいました。
 それでも設計を日電に委託し、スーパノバのハードウェアは完成しました、後はソフトウェアの完成を待つばかりです。
 しかし……。

第三章 落胆
 いくら待ってもソフトウェアの開発は遅々として進みません。進捗状況は最悪でした。ソフトウェアを担当する日立ソフトの技術者のレベルは目に見えて粗悪で、組み込みソフトを担当するにも関わらず、ICEすら扱えないというありさまでした。恐ろしいことに彼らはコンソールの前でしかデバッグの出来ない、ICEどころかソフトウェアデバッガもまともに扱えない、いわゆる『プリントエフバカ(by AYU)』だったのです。
 金子は日立ソフトの責任者、および三田会長に改善を要求しますが、うまく言いくるめられて反論できず技術者のレベルアップはおろか、日立グループ他社への委託切り替えの道さえ閉ざされてしまうありさまでした。
 ソフトウェアの遅れをただ手をこまねいて見ているわけにもいかず、金子は完成しているハードウェアに3次元描画機能を付加するという次のステップに進みます。日立マイコン等に発注したそのハードウェアは程なく完成しますが、相変わらずソフトウェアは完成しません。3次元描画機能開発で関係を得た金子は、日立マイコン等の優秀な技術者にソフトの遅れについて相談しますが、その席で衝撃の事実を聞かされることなるのです。曰く「あー、日立ソフトって派遣会社だから、そんな技術ないよ。なんでそんな所にたのんだの?」と……。

第四章 裏切り
 金子の意欲的なプロジェクトはソフトウェアの遅れで助走を続けたまま飛び立つ目途もたたず、会社の財政も落ちていく一方でした。
 金子はあまり気が進まなかったのですが、スーパーノバの基盤を利用したプリクラ系のアミューズメント機器を発案し、いやいやながらも販売に踏み切ります。しかし、その機器の販売自体が罠だったということまでは、その時の金子に気が付く術もありませんでした。
 日立ソフトから出向で来ていたカネコ経営陣が構築した、その機器の流通システムは、まさにカネコにリスクと負債を負わせ、日立ソフトが利益を得ると同時にアミューズメント機器ビジネスのノウハウを日立ソフトにもたらすためだけのものだったのです。
 カネコの負債は金子が知らないうちにどんどん膨らんでいきました。気が付き大慌てで止めたときにはカネコには莫大な負債だけが残されたのです。
 さらに、日立ソフト幹部の一人がトンネル会社を利用した不正受発注を繰り返し、多額の資金を自分の物にしていたです。

第五章 決意
 金子の夢、スーパーノバシステムはあまりのソフトウェアの完成遅延の為に、ゲーム機器の世代交代後にまでずれ込み、実質商品価値を失いました。傷心の金子には多額の負債だけが残されました。引き上げていく日立ソフトの出向者……かれらは驚いたことに、在職期間中の資料を破棄、あるいは持ち去り、データを消去し、裏切りの証拠隠滅まで図ったのです。
 金子は、巨大な力を持つライオンに玩ばれ、何もかもを食い散らかされボロボロにされたチッポケなウサギのような姿の自分を惨めだと思いました。しかし、金子はカネコという一国一城の主です。慕い信じてついてくる社員達が居ます、自分の才能を評価し支えてくれる人たちがいます。裏切りたくない債権者達が居ます。
 日立ソフトの人間が持ち出そうとして阻止した資料がいくらか残っていました、消去されたデータはバックアップから復活させることができました。彼らがその存在を隠そうとした資料を整理していくにつれて……その不正、陰謀の数々が資料の端端から露呈していくにつれて、金子の中に新たな怒りが込み上げてくるのでした。
 ……このままでは終われない。終わらすわけには行かない……。と。

  • 公判に続く -